- asuna

aotoao2002-08-03

Hochenkeit Japan Tour 2002

Hochenkeit(ホッケンカイト)が日本にやって来る???え?なんで!?ほんとに?

2002年初夏、Hochenkeit来日のニュースを知って、同じくHochenkeit好きの友人と2人で戸惑いながらも喜んだ。その友人はポートランドを拠点とする『Road Cone』レーベルのカタログをほとんど持っており、1年前に彼と出会った頃は『Road Cone』といえばLoren Mazzacane Connors(現在はLoren Connors)のCDを何枚か持っていただけだった自分にいろいろ貸してくれた。その中でも、トルキッシュで擬似アメリカーナ的なジャーマンロック?とでも形容したくなるような謎バンドがHochenkeitだった。中心人物のJeff FuccilloとJason Funkは、前身のIrving Klaw Trioでも一緒に活動しており、そちらは脱臼加減が絶妙?なジャンクバンドで、2枚のアルバムを残していた。また、Jeff Fuccilloは『UNION POLE』というレーベルも運営しており、自身のソロ名義であるWham-OやMazzacane Connorsの7インチをリリースしていた。とはいえ『UNION POLE』はカセットテープでのリリースが主で、同じくポートランドのバンドJackie-O Matherfuckerからイギリス地下音楽界のドン集団?Vibracathedral Orchestraまでそのリリースは膨大で、中には小学生にDead C(!)みたいなことをやらせてたり?した音源があったりと、非常にユニークな活動を繰り広げていた。しかしながら、彼らの日本での知名度なんて無いに等しいようなものなのに、なぜ日本にツアーしに来るのか謎だったし、誰が招聘しているのかも気になった。が、それはおそらく一緒に来日するYume Bitsuがメインのツアーで、Yume Bitsuはオリンピアポートランドに近い)のK recordsからリリースしているので、その辺の繋がりで一緒に付いて来るんだろうと察することができた。

ツアー初日はなんと代々木のギャラリーOFF SITEでのシークレットライブ!!この日はHochenkeitとYume Bitsuのメンバー全員の6人での即興演奏だった。Yume Bitsuのメンバー2人が両サイドでギターのつま弾きでミニマルなメロディーをポロポロと弾き、Hochenkeitのメンバー4人はそれぞれハーモニウムベトナム三線のような楽器や様々な異国情緒のあるオブジェクトにコンタクトマイクを付けて、奇怪な物音やドローンにエフェクトをかけて静かに鳴らしていくという、その頃盛り上がりつつあったフリーフォークのインプロビゼーションの良い典型とも感じられるかなり好内容な演奏だった。彼らの1stアルバム"I LOVE YOU"がフリーかつメロウに発展した形とも言えるだろう。終演後、日本語でメンバー紹介をするJeff Fuccilloの日本語が結構流暢な感じでちょっと面白かった。と、思っていたら、なんと彼とJason Funkは1年半くらい前から日本に住んでいるというのだ!!Road Coneからリリースされているようなサイケデリックフリーフォーク?的なバンド群達はその謎な音楽性もあってか、その存在自体がある種ベールに包まれているような印象があった(が、その後Jackie-O Matherfuckerはイギリスでブレイク)ので、日本にやって来ることなどありえないとずっと思っていただけに、拍子抜けというか、なんというか。

翌日は下北沢SHELTERでのライブ。開演前に外に居るとリハーサルを終えた彼らが中から出て来て、自分の名前をゲストリストに入れてくれた。お金が無い学生にはありがたい。彼らにとってはHochenkeitを目当てにライブに来る人がいるというだけで驚きらしく、逆にどうやってHochenkeitや『UNION POLE』を知ったのかと聞かれた。ちなみに『UNION POLE』のカセットは日本ではLOS APSON?にて販売されていた。さて、肝心のライブの方だが、前日とは打って変わってバンドセットでの編成だった。とはいえ、ドラムのJason Funkはシンバルにコンタクトマイクを付けて弓で擦ったり、ベースのMattはディレイ系のエフェクターとボリュームペダルを2つ駆使して、日本のTAMARUさんを想起させるようなドローンを演奏したりと、彼らの特徴は随所に感じられる。ゆったりとした即興演奏がしばらく続き、Jeff Fuccilloが三線と木製の太い笛?を手放し、エレキギターを手にしたあたりからドラムもリズムを刻みはじめ、徐々に盛り上がって来る。Jeff FuccilloのギターはファズがかったサイケでGS的な音色なのだが、一貫してデチューニングなフレーズを弾いていて、ジャーマンロックな雰囲気でカッコイイのに脱臼してるような変な感じで面白い。そんな中セカンドギターのZackとベースのMattは自分の仕事に徹するように淡々と演奏しているのも良かった。今回のライブはまさに2ndアルバム"omu4h 4aholab / 400 Boys"のような雰囲気だった。終演後、Jeff Fuccilloとポートランド周辺の音楽シーンやRoad Coneのバンドについてちょっと話す。別れ際、酔って上機嫌の彼はMazzacane Connorsの"Dance Acadia"のメロディーを歌っていた。。。






□ ASUNA

(2002.08.03)