- asuna

aotoao2005-12-28

the medium necks

"the medium necks"

飛田左起代と吉田苑子のふたりから成るthe medium necks。ORG.やInternational Friendship Societyのメンバーとしても活躍している飛田は、1999年に藤本左起代としてのソロアルバム『TRACE』をF.E.E.S/Sonic Plateからリリースしており、それ以降の彼女の音源をまとめたものが実質本作にあたる。憂いを感じさせる彼女の歌声と不可解な構成で鳴らされる電子音やインストゥルメントのその雰囲気は、タラ・バークのFursaxaとイヴォンヌ・コーネリウスのNiobeが共作しているかのよう。前作の『TRACE』は単なる宅録作品を踏み外し、チープさが過剰なゆえにカセットのヒスノイズと音のくぐもりのテクスチャーが前面に出ており、聴いているうちに強烈な恍惚を感じさせる作品だったが、この『the medium necks』では、たおやかでありながらも暗澹とした世界観を醸し出しており、リピートされる音盤において、非構成的な楽曲であるがゆえに要している音楽的な強度を持っている作品だと言えるだろう。






□ ASUNA

Improvised Music from Japan 2005』誌上より転載。(2005.12.25)