- hanauo

ダークかつカラフルで、決して大仰にはならない絶妙な録音物を作り上げるハマの特殊女性ロッカー二人組のhanauo。結成から10年。練りに練られた膨大な音源の中からこの度ようやく初のCDとなる"ear sugar"をao to aoからリリース。そのマイペース(過ぎる?)な音楽活動と同じくインタビューもネット上でゆっくり(過ぎる?)と進められていたが、約4年振りとなるライブを目前に、ここにようやくひとまずのまとまりをみた(半ば強引に)。初のhanauoインタビューです。

■ hanauo インタビュー(聞き手:aotoao)


aotoao:二人とも元々から横浜で活動をしていたんですか?ハナウオの前にやってたバンドとかあるんでしょうか?


マミコ:別に私もリコも横浜出身ではないけれど、横浜の大学で知り合ってから一緒にバンドを始めて、でもそれは私とリコ以外は別に固定のメンバーって感じでもなく、オリジナルの曲も作ったりしていなかったんです。でもあるとき、オリジナルの曲をやりたいって思い立ち、私とリコのほかにもう一人ベースの女の子を入れて「86(エイティ・シックス)」ってバンドを組みました。それが前身バンドってことになるのかな。ま、パンクというかガレージっぽいバンドでした。半年か1年くらいはそのバンドをやってたと思うんだけど、ベースの女の子がたしか留学したいって話になって辞めることになって。ほかに誰かを入れてバンドを組み直すかどうかを考えたときに、リコといろいろ相談しているうちに、ギターとドラムだけだけど、その方が面白いんじゃない?って。


リコ:えーと、そう、マミコとは大学で同じクラスで学籍番号が続きだったんだよね。福井(マミコ)さんと福田(リコ)さんで。「86」は約1年くらいしか活動してないけど、ちゃんと録音もしたんだよね。4トラックのカセットのMTRで。録り直しまくりでモコモコな仕上がりだったけど。今では考えられないけど叫ぶ曲とかもあって、若かったねえ…。ハナウオを始めた98年ごろにはMDのMTRを手に入れて、演奏が決して上手じゃない私たちにとっては何度も取り直せることがすごく画期的で、ライブはさておき録音バンドとしてならむしろ自由に活動できるかも、って思ってました。


aotoao:その録音バンドとしてスタートしたっていうことがハナウオの初期のカセットテープにも随所にあらわれていて、ダークでサイケな雰囲気にも関わらず電子音やサンプラーの打ち込みがあるっていうのが面白かったですね。当時は打ち込みが入るバンド系だとポップなものか逆にアヴァンギャルド寄りなものばかりだったので、その中ではハナウオの録音物はちょうど良いバランス感で電子音を溶け込ませていて、ポストプロダクションの面白さがうまく表現されていたというか…。そして2000年前後に音楽雑誌のAFTERHOURSのボーナスCDに3度にも渡ってハナウオの楽曲が収録され、それで注目を集めたわけですがなにか周りからの反応や評判などリアクションはたくさんありましたか?


マミコ:私たちはほんとになんというのか、何にも音楽的なことの基礎もないし本当に感覚だけで手探りで曲作りをしてたこともあってか、結構無茶な曲も多かったんです。前身のバンドでは、ひどい言われようをしたこともあったし…。でもその後、ハナウオとして仕切りなおしてスタートしたときに、自分のやりたい音楽が大分整理できて来たというか、前よりはずっと手ごたえがあったんです。AFTERHOURSにテープを送ったのは、ハナウオとして最初にデモテープを作ってすぐなんだけど、それが取り上げられて、良いコメントをもらえたのは本当に嬉しかったし、驚きもしました。でもその後に周りの評判が変わったかというと、そういう感覚はあまりないんだけど、ポツポツと、気に入ってくれる人が現れることはありました。あくまでポツポツと、ですけど。


リコ:最初のデモテープの時は「わかんない」って人と「いいね!」って人の評価が両極端でおもしろかったですね。私としては、とにかくできるだけ妥協のない作品を作りたい、まず自分が満足したいって思いが強かったので、テープを作った時点で、もちろん演奏はヘタですが納得いくものができたってことで満足しちゃってたので、そこにある程度の評価がついてきたことには驚いたし嬉しかったです。ライブやりませんかってお誘いもちょくちょく来るようになっていたけど、ハナウオの曲はライブのことを考えずにつくられているので、毎回ライブには四苦八苦で未だに苦手意識があります。


aotoao:たしかにハナウオは録音物でのアレンジの妙が伝わってくる曲構成が特徴ですよね。今回のCDには未収録ですが、ペイヴメントの”fight this generation”のカヴァー曲など、原曲と比べてみるとすごく暗くて展開が変だったりと、サイケデリックな雰囲気のバンドでありながらもそのようにレコーディング主体のユニットであるというところがハナウオの大きな魅力だと思います。じゃあ最後にバンド名の由来は?的な話でも…。


マミコ:漢字で書けるようなものが良かったんだよね。最初は漢字で「花魚」って表記してたし。あとはやっぱり花と魚の組み合わせが面白いというか不思議な雰囲気があるからかなぁ…。