- asuna

aotoao2006-12-25

MUSICGUITAR(青山政史)

"MUSICGUITAR"

「MUSICGUITAR」は、新宿のレコード店LOS APSON?』において様々なフォーマットで作品を発表し話題を集め、AMAGUMO名義でも活動してきた青山政史さんによるフルアルバムです。当初のカセットテープでは5作目まで発表され、青山さん自身の『a&disc』からのリリースでも中核を成すこの人気シリーズ(他には「TREMOLOLAND」などの連作がある)は、エレキギターによるシンプルなフレーズの反復が美しい作品集です。「MUSICGUITAR」はそのミニマルな手法によるメロディーの簡潔さの魅力以上に、青山さんが選択する音に対する節度とも言えるような美的感覚こそが最大の特徴だと言えるでしょう。青山さんのギターは通常のセッティングとは異なり、弦の数が少なかったり、弦の張り方の順序さえも曲によっては様々で、これは青山さんのギターの音響世界を象徴するポイントでもあると思います。例えば、弦の太さが4弦とも同じであるという曲の場合、近似値にある倍音の響きが互いに干渉しやすくなっており、複雑に揺れる倍音の響きがメロディーを包み込むかのように常に背後に佇んでいるように聴こえます。これは音のトーンの統一性にも効果を与えていて、断続的に弾かれ続けるフィンガーピッキングの奏方により、いつまでも聴いていられるような節度ある心地良さを獲得しています。また、ギターのフレーズ自体にもその特徴は見られます。全ての楽曲がとても簡潔なメロディーの断片のようなフレーズの反復から成っているので、聴いているうちに各々のメロディーよりも全体の音の質感を主体に耳をかたむけるようになってしまい、くり返し聴いてもその音響世界の心地よい記憶だけが残るかのような感じを覚えます。物事をシンプルにしてゆく行為というのは、一見その表層からは伺い知りにくいこともありますが、限られた表現を模索し研摩してゆくということは、もっとも複雑で難しい行為でもあるのではないでしょうか。






□ ASUNA

『commune-disc』"MUSICGUITAR"への寄稿文より転載。(2006.12.25)
















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